
発行日:2026年8月3日
定価:1,100円(税込)
● 伝統と革新第5弾 桐生
● メンパで動くギフト需要
● ギフトは価格を超える
● 干支・カレンダー・縁起物・年末年始用品
● 館外へ広がる水族館ブランド
● 日本玩具文化財団の地域共創
● 日本クロージャーの生活雑貨市場への新たな挑戦
第102回東京インターナショナル・ギフト・ショー秋2026(ギフト・ショー)が9月2日~9月4日に東京ビッグサイトで開催される。テーマは「伝統と革新」。
今回は、桐生市ブースを構成する桐生市役所と、出展する森秀織物、平賢、村田刺繍所、加栄レース、川島エンブ、大塚孝商店の6社に取材した。彼らの取り組みこそ「伝統と革新」というテーマを象徴するものだからだ。
そこには伝統産業が、そして日本のものづくりと商いが勝ち残っていくためのヒントがあった。
「メンパ」という言葉をご存じだろうか。「メンタルパフォーマンス」の略で、心の負荷を減らし、自分にとって心地よい状態を保つことを重視する考え方だ。コスパが「費用」、タイパが「時間」を有効に使う価値観だとすれば、メンパは「心の余力」を大切にする価値観といえる。
現代人は、インターネットやSNSによる情報過多の中、日々膨大な選択を迫られている。さらに、AIの普及によって選択肢や提案の量は一層増え、比較・検討すべき情報も飛躍的に増えている。
どこへ行き、誰と過ごし、何を買うか。そして、それがどのように見られるのか―。そうした積み重なる判断や他者からの評価を意識することは、知らず知らずのうちに心を消耗させる。
その結果、人々は日々の選択に疲れ、人間関係にストレスを感じたり、実際に睡眠不足などの不調に陥ったりするケースも増えている。
そうした状況の中「より得をしたい」「より早く済ませたい」だけではなく「なるべく心を消耗せずに過ごしたい」という価値観が広がってきたのも自然な流れといえる。
何もしない時間を持ちたい。自分の時間や心身を大事にしたい。他人の評価を気にしすぎず過ごしたい―。
それを表すキーワードとして注目されているのが「メンパ」である。
高度経済成長、大量生産・大量消費の時代から、日本の流通業は不断の努力によって低価格や値頃感を実現してきた。消費者の暮らしを支え、選択肢を広げ、豊かさを提供してきた。
一方、消費の二極化が進んで久しい。原材料費や物流費、人件費も上昇し、安さだけでは商品の価値も、作り手や流通の持続性も守りきれない。品質や希少性、技術や手間に見合う価格をつけ、その整合性を保つことが、次の商品を生み出す力になる。
ギフトは、価値ある商品を適正な価格で届けることに適した領域だ。「価格を超える」とは、価格を軽んじることではない。価値に見合う価格を成立させた上で、その数字だけには収まらない価値を届けることだ。ギフトは、贈る相手や用途に応じて、価格だけでなく、品質や背景、物語まで含めて選ばれる。これもまた、豊かさの一つである。そうした選び方は、近年さらに広がっている。
ギフト・ショーをはじめとするビジネスガイド社主催の見本市は、出展社が生み出した商品の価値を伝え、販路開拓を通じて中小企業を支え、流通と消費を活性化し、経済発展の一翼を担ってきた。
ギフトは、豊かさと幸福を循環させていく。ギフトは価格を超える。